診療科のご案内

呼吸器外科

ごあいさつ

独立行政法人 国立病院機構帯広病院は、我が国を代表する畑作、酪農先進地帯の中心、また北海道観光の要所である十勝地方の中心都市として発展著しい帯広市に所在しております。その沿革は、さかのぼれば昭和17年の北海道庁立結核療養所ということになりますが、昭和22年に国立に移管され国立療養所帯広病院となり、機構改革の結果、平成16年からは現在の名称となっております。従って、当院の呼吸器外科の歴史は結核に対する外科治療から始まったと言えます。その後、肺癌を含め外科治療を要する呼吸器疾患全般に対処することの出来る呼吸器外科の拠点病院として帯広、十勝地区において確固たる地位を築いてまいりました。特に、平成9年1月からは長く札幌医科大学胸部外科教室にて呼吸器外科を専攻してきた草島勝之(前院長)が、また、平成12年11月には旭川医科大学第1外科教室から同じく呼吸器外科を専攻する八栁英治が着任し、呼吸器外科に関しより専門性の高い、充実した医療を提供できる体制が整い現在に至っております。これからも、皆様の期待を裏切らないように新しい知識、技術を取り入れ高度な医療、また、心の通った人に優しい医療を提供できるよう努力してゆきたいと思っております。

呼吸器外科とは

"呼吸器外科"とは、肺・縦隔(左右の肺にはさまれた空間)・胸壁・横隔膜に発生した腫瘍、炎症、奇形、外傷などを対象疾患とする外科です。代表的な病気は、やはり肺癌、自然気胸、膿胸、縦隔腫瘍といったところでしょう。  昨今、日本でも社会の高齢化と高い喫煙率の影響で呼吸器疾患、中でも肺癌の増加は著しく(肺癌は、男性癌患者の死因の1位、女性でも2位を占め、今後さらに増加していくと予想されています)、手術の対象となる肺癌症例も増加してきています。そして、手術症例は高齢化し(今や75才を超える症例は珍しくはなく、80才を越える症例も認められます)、何らかの基礎疾患を持つ症例の頻度は高くなってきています。そして、少し前なら手術をあきらめていたような症例でも手術の対象となるようになり、呼吸器外科全体の手術症例数は確実に増加してきています。加えて、近年、肺癌を筆頭に呼吸器外科領域においても病気を治すことだけではなく、生活の質も重視した治療の重要性が叫ばれるようになっています。その結果、以前は画一的に行われていた治療・手術が、同じ疾患であっても個々の症例の状況・状態にあわせ、異なる治療・手術が選択されるようになってきました。そのためには、豊富な知識と高度な技術が必要であり、呼吸器外科を行う医師にも高い専門性が求められる時代になってきました。つまり片手間ではとても呼吸器外科を出来ない、あるいは行ってはいけない時代になったと言っても言い過ぎではありません。その点、ここ国立病院機構帯広病院では、呼吸器外科専門医・日本呼吸器外科学会指導医・日本胸部外科学会指導医の資格を有する八柳が呼吸器外科として独立し、呼吸器外科の症例のみ担当し治療を行う体制を取っています。

呼吸器外科の体制と特色

呼吸器外科は、年間60例の肺癌手術症例を含め、120例前後の呼吸器外科手術を行っています。また、当科は呼吸器外科学会、胸部外科学会、外科学会、呼吸器学会から認定・修練施設に指定されており、呼吸器外科として専門性の高い治療を行っていると自負しています。内視鏡(胸腔鏡)を用いた手術についても積極的に行っているのは言うまでもなく、加えて、循環器内科、循環器外科と協力し循環器疾患(狭心症、弁膜症、大動脈瘤など)を有する症例の、あるいは心臓・大血管の処置を要する呼吸器外科手術にも積極的に取り組んでいます。

対象疾患と治療方針

原発性肺癌

肺癌の中でも原発性非小細胞肺癌に対しては、手術で病巣を完全に切除することが最も有効な治療方法であると考えられています。その一方で、手術はあくまで局所療法であり、遠隔転移巣を持つ全身化した肺癌には無力であり、加えて、肺癌の手術そのものが心肺機能に大きな影響を与えることも忘れてはなりません。近年、肺癌も含めた各種癌治療において、癌を治すことだけではなく、生活の質も重視した治療の重要性が叫ばれていますが、そのためには手術適応を正確に決め、個々の症例の状態にあった術式を選択することが求められます。当科でも、癌の進行状態と患者さまの全身状態の二つを慎重に評価し手術適応を決定しています。

現在、肺癌に対する手術方法は、大きく標準手術、拡大手術、縮小手術の三つに分類することが出来ます。当科では、基本的には標準手術(肺葉切除+縦隔リンパ節郭清)を行う方針を採っていますが、高齢者や低肺機能症例には肺の切除範囲を小さくする縮小手術を行っています。最近は、内視鏡(胸腔鏡)を積極的に併用し可能な限り小さな傷で手術を行うよう心がけています。ただし、肺癌の手術を内視鏡のみで行うことには"他の手術より本当に体にやさしいのか""癌を取り残す恐れがあるのではないか"という議論が専門医の間でなされ、現在まだ決着が付いておりません。従って"癌を直す"という目的と"体へのやさしさ"のバランスの取れた手術を行うよう心がけています。その一方で、周囲臓器を合併切除する拡大手術や気管支形成・肺動脈形成術という肺の機能を温存する手術にも積極的に取り組み、他施設では手術をあきらめられていたような方でも、外科治療の恩恵が受けられるように努力しております。

転移性肺癌

肺以外の臓器に発生した癌が、主に血流に乗って肺に飛んできた(転移した)ものです。癌の転移(再発)だからといってあきらめる必要はありません。外科的に切除することで、長期生存が得られる症例があります。当科では、主に内視鏡(胸腔鏡)を用い積極的に手術を行っています。

縦隔腫瘍

縦隔腫瘍には様々な種類があり、発生する部位も異なります。当科では、可能な限り内視鏡(胸腔鏡)を用い切除するようにしています。最近では、胸腺腫の初期のものも胸腔鏡下に切除しています。ただし、胸腺腫でも一定以上病期が進んだものや、それ以外でも前縦隔に発生し再発の可能性のある腫瘍は、傷の大きさより再発しないよう完全に切除することを優先し、胸骨という骨を縦に切って手術を行っています。

気胸・肺嚢胞

気胸とは、肺の一部に穴があき空気が漏れだし、その空気で肺が押しつぶされてしまう疾患です。多くは肺嚢胞と呼ばれる肺の表面に出来た風船状の病変が破れることで生じます。当科では、ほとんどの症例を内視鏡(胸腔鏡)を用い手術しており、術後3〜4日で退院していく患者さまも珍しくありません。肺嚢胞は、破れなくても大きくなると正常な肺を圧迫し肺機能を低下させてしてしまうことがあり、切除の対象となります。この場合も、可能な限り内視鏡(胸腔鏡)を用い切除するようにしています。

肺気腫

肺気腫とは、肺の基本構造である肺胞壁が破壊され拡張してしまうことで肺の機能が低下する疾患で、大部分が喫煙に関連して発症します。長い間、内科的にしか治療する術はありませんでしたが、近年拡張した肺の一部を切除することで横隔膜を始めとする呼吸筋の運動が回復し、しいては肺機能が改善するということがわかってきました。この手術を肺容量減量術(Volume reduction surgery)と呼びますが、当科でも取り組んでおります。

膿胸

胸腔内に膿がたまった状態を膿胸と呼び、内科的治療で改善しない場合には外科治療が必要になります。膿胸の手術には様々な方法があり、いずれも専門的な知識と技術が求められます。当科は、結核治療の長い歴史を有し症例の蓄積も豊富であることから、膿胸の外科的治療にも積極的に取り組んでおります。

その他

重症筋無力症に対する外科治療、手掌多汗症に対する胸腔鏡下胸部交感神経切除術、気道狭窄に対するステント治療も行っております。

セカンド・オピニオン

当科では、呼吸器外科疾患に対する診断や治療方針に対するセカンド・オピニオンにも対応いたしております(要電話予約)。

外科総合診療部長:八栁英治(やつやなぎえいじ)

資格:医学博士、日本呼吸器外科学会指導医・評議員、日本胸部外科学会認定医・指導医、日本外科学会専門医・指導医、日本肺癌学会評議員、日本消化器外科学会認定医、日本乳癌学会認定医

呼吸器外科医募集

当院では呼吸器外科医を募集しています。すでに呼吸器外科専門医を取得している先生は勿論、呼吸器外科専門医を目指している若い先生も大歓迎です。当科は修練に十分な症例を有し、学会活動も積極的に行っており、資格取得を目指す方、さらに経験を積み・技量を高めようと思っている方にとって魅力的な施設と考えます。興味のある先生は、お気軽に当院事務または八栁まで御連絡下さい。

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終わりに

以上、当科の概要をご説明いたしました。わからないことがあれば遠慮なくお問い合わせ下さい。